災害時のマネープラン

この度は、昨日の北海道の地震にて、被害にあわれた方に心よりお見舞い申し上げます。
昨年度の大地震の記憶も新しいまま、再度怖い目に合われたかと思うと、大変心が痛む。大きな被害を受けたが方、居ないことが全てもの救いである。
来年もう東京五輪で、その次の年が3・11から10年とは時の流れが早い。

さて私は、モグリながらファイナンシャル・プランナーなる資格を有しているが、3・11当時に作成した、災害時のマネープランについての文書を紹介したい。(内容も古く今見ると、ゲンナリすることも多いが)
地震対策と言えば、備蓄や避難などが大半だが、その後にかかるお金のことも、是非ご高察えてほしい。
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災害時の緊急マネーマニュアル

災害から助かったら、次には生きる事、そしてお金の問題が出てきます。

被災した際焦らないように、またはその心構えを持つための指針として、ご一読下さいませ

 

Q. 貯金通帳、実印を災害で紛失してしまった。どのように引き落とせばいいでしょうか

身分証を見せれば、通帳・実印等が無い場合でも、一定額の預金の引き出しができるなどの特別措置が取られますので、心配はいりません

ただ普段から、タンス預金を持つなど、最低限の現金は手元に用意しておくことが大切です

また一つの金融機関に、資産を集中させず、いくつかの場所に分散保管するようにしましょう

 

Q. 紙幣が、地震による火災や津波の被害で破損した

損傷したお金は、一般の金融機関で交換できますが、傷みの激しいものに関しては、日銀の鑑定が必要です。

燃えてしまったり、細かく破れてしまったお札や、溶けてしまった貨幣でも、一定の条件を満たせば、引換えが可能だそうです。水浸しになった紙幣については、日干しし、バラバラになったものはつなぎ合わせるなど、なるべく原型をキープするようにしてください。ちぎれた紙幣でも、3分の2以上が残っていれば全額、5分の2以上あれば半額分を引き換えるとの事です。日銀本店・支店に持ち込んで相談をして下さい

 

Q. 地震保険を請求したい

住宅が地震の被害にあいましたら、速やかに被害状況の証拠として、写真を撮るなどして下さい。また役所から災害の度合いを証明する「罹災証明」をもらいましょう。その後、保険会社に査定をしてもらい、保険金額が決まりましたら、必ず二次審査をお願いして下さい。二次審査をする事により、額が増額されることが多いそうです。

尚、地震保険を選ぶポイントとしましては、地震保険は建物は最大で5,000万円、家財は1,000万円となりますが、持ち家でない方は、家財のみを最低限保険に掛けるだけで十分です。保険料は所得控除も受けられます

また余談ですが、持ち家の場合、建物の耐震補強工事を行うと、確定申告により一定の税額控除が受けられますので、合わせましてご検討ください。(建物を壊さず、外側から補強する工事などもあります)

 

Q. 災害に合うと、税金が優遇されるというのは、本当ですか?

確定申告により、雑損控除、もしくは災害減免法どちらかが適応となります。

災害で生じた支出の領収書や、火災などが生じた場合は、消防署の出す被害額届出用の証明書を無くさずに保管して下さい

 

Q.持ち株が災害により、暴落した。損切りすべきですか?

災害、クーデター、テロ等で該当国の国債や株が暴落するリスクを、カントリーリスクと言います

日本株保有する上でのカントリーリスクは、地震大国である事と言っても過言でありません。

今回の大震災で、東電の株を持っていた、等であれば違った話でありますが、揺り戻しも十分に期待できますし、暴落時にロスカットするのは、損失が多い為、焦らずに保持し様子を見た方が好ましいと思います。

余談ですが、この様な暴落時に焦らないためには、普段より、たくさんの国や金融商品分散投資し、リスクを分散しておくことや、有事に強い金銀のようなコモディティー取引の検討、災害時にも大きな影響を受けないディフェンシブな銘柄(製薬、石油など)、また災害が起こると決まって高騰する、いわゆる復興銘柄(ゼネコン・鉱業、金属製品など)にも、目をつける事が大事です。

 

Q. 災害で身寄りもお金もすべて失ってしまったら?

ともかく、避難所での炊き出しと支援物資で寝食を確保し、生命維持に徹する事が、最優先です。

落ち着いてから、その次にお金と今後の生活を考えます。

職業安定所にて求職活動をし、失業保険等、自分が受け取れるお金が無いかも確認してください。

行政で被災者への生活保護の特別措置などが無いか、情報収集に努めてください。

身の回りには、同じ境遇の人が多くいると思います。避難所でも、周りの方と密にコミュニケーションを取り、単独行動は絶対に避けてください。体が弱い、高齢者である、社会的弱い立場にある、等であれば尚更です。

緊急時には、自分一人の力でどうにかしようとせず、とにかくボランティアや行政、国に徹底的に甘える事です

災害で、せっかく助かった命です。無駄にせず、何としてでも生き抜いて機会を待つことです

 

Q. マネーのプロの観点から、災害にどの様に備えるべきか、教えて下さい

まず、地震保険や災害医療保険などは、ただ、保険会社の勧めるままに加入するのでなく、特約・内容がご自分の生活スタイルに合っているかなど、慎重に吟味した上で加入することです

建物の耐震補強も、税制優遇がありますので、是非検討してください。

 

また大災害後においては、一時的な経済困難や不況が訪れるのは避けて通れません。

地震による失職や会社そのものの消滅に備え、3か月分の生活費は常に「命金」として、貯金しておくことが大切です。

序文に記したとおり、生き残った後、次に課題となるのが、生きる事とお金の事です。

災害時に焦らず、強く賢く生きるためにも、生命力・精神力に加え、最低限のマネーリタラシーも是非身につけておいて下さい