病に悩むあなたに

慢性疾患や、持病、先天性の病に悩まされている方は多い事と思う。
私自身、根治が難しくうまく付き合っていかなくてはならない免疫疾患を持っている。
その上で想う事は、決して病はネガティブなことばかりでなく「喜び」も多いという事である。

私が体に異変を感じたのは21歳の頃である。体調不良が続き、血液検査にて異常がある事が分かった。
しかしこの頃は、あくまで日本の基準では「予備軍」の扱いを受け、治療をしてもらえなかった。医師によると数値の出方も、通常の4種類の数値が上がるところ、私は2数値しか上がっておらず、見た事の無い数値との事だった。
その後アメリカに短期遊学(?)した際は、アメリカの基準ではばっちり、その疾患にあたるとして、投薬治療を進められ薬も出してもらえた。
この結果を経て、アメリカの医師のレファレンスを持って日本に帰った私だったが、日本の医師は、依然治療に対し首を縦に振ってくれなかった。

ここから20代は病気に支配されていた期間であった。
158cmの身長の私でも一時期は体重が40キロ代を切ることもあり、常に体は怠かった。
転機が訪れたのは32歳の頃だった。この頃は脱毛や、冬でも発汗が激しく、夫の勧めで再度、大学病院の門を叩いた。ここで喜ばしい事に、20代の頃に治療に消極的だった医師が、一旦投薬治療を始めようと英断をしてくれた。またこの頃には日本でも抗体の取り方が変わっており、私もバッチリ陽性反応が出て、正式に病名が付いた「やっと救いの手が差し伸べられる」と心から嬉しかったのは言うまでもない。

また忘れられない出来事は初めて数値が正常値になった時の事である。10年以上に及ぶ苦労が報われたと喜びが止まらなかった。会計時の待合室のTVで桜の開花がまだ・・・と放送がされており、自分に重ね合わせこれから春一番が訪れると、自然と涙が溢れてきた。

もし、何か病気を告げられショックを受けるようなことがあったら、是非以下の事を実践してほしい。

  • 該当疾患についての専門書を徹底的に一冊読み、病気への恐れを捨てる事。病気の知識を付けることによって、病気への疑問や悩みを軽減することが出来る。
  • 良い医師を選び、徹底的に医師のいう事を聞く。医師も患者の好き嫌いはあると聞くが、真面目にコツコツ治療をする患者の事は応援してくれるものである。
  • 病気に心を支配されるのをやめる。あくまで自分の一部として、受け止める。

2年前は虫垂炎で手術を受けたが、この時も学ぶことが多かった。術後の経過が思わしくなく、自分で起き上がる事の出来なかった私が窓の外を見たとき、父親であろう男性と二人の女の子が出てきて、縄跳びや三輪車に乗っているのを見て「あの人たちはなんて幸せなんだろう」と思った。自分の足で歩き、好きな場所に行けるという当たり前なことが、こんなにも幸せなんだという事に、嫌というほど気付かされた。退院から日常生活に戻れる過程にも大きな喜びを感じられた。

もしも、何か病を告げられショックを受けた時、それは現在の体調不良の原因が分かり、救いの手が差し伸べられる福音でもある。勇気を出して、立ち向かっていけば「自分は凄い!!」と誇りに思える瞬間がきっと訪れる。家族の力が有り難い等、見えなかった景色も見えてくるであろう。決して辛い事ばかりでなく、大きな「喜び」がある事を信じ、闘病に励んでほしい。