エジプト-ピラミッド見学ツアーにて、ぼったくられる

さて、ソウルを後にして、エジプト・カイロに出発することになった。
宿のお母さんが、何度も仁川国際空港行きのバス停までの行き方を説明してくれたおかげで、無事バス停までつけたのだが、なんとお母さんがバス停まで見に来てくれた!
本当に優しい人である。こういった事が旅の醍醐味である。

仁川空港について、どのホテルに泊まるかガイドブックで探していると、日本人の同世代の女の子に声をかけられた。どうやら一緒に行動したい様である。一人で行動したい私は、世間話も程々に、またガイドブックに読み入っていた。

大韓航空の美味しいビビンバとビールを飲みつつ、12時間ほどの長いフライトを経て、やっと明け方のカイロに到着した。空港で切手の様なビザを取り、やっと入国するも、空港がボロく何となく不安になった。トイレに入ると、なんとムスリムのスカーフを頭につけた女性が一人寝っ転がっていて、私を見て眠たげにスマイルをしてきた。...でトイレを飛び出してしまった。空港を出ても何もない。取敢えず市内行きのバスに乗ろうとバス停を探していると、1人の男が声をかけてきて「市内に行きたいなら、タダで乗せていってやる」と言って、3名ほど男たちの乗ったワゴン車を指さしてきた。決定的に怖いと感じた。とんでもない場所に来てしまったと思ったところで、先ほど話しかけてきた女の子に遭遇した。心細い二人は取敢えずバス停を見つけ市内に行くことになった。乗車時に出会った親切な韓国人の男の子たちが数十円のバス代を支払ってくれた。
ボロボロのバスは現地民で溢れかえり、独特の雰囲気である。また街中で手を挙げてけんかをしている男性たちを何人か見たが、これもガイドブックによると、大した意味は無く、エジプトではそういうポーズをとるだけで、後はあっさり終わるらしい。
結局女の子とは、自然な成り行きで、同じ宿泊先に泊まることになった。安宿だったが、オーナーもしっかりしていそうで、まあまあ快適な場所である。日本人の知り合いも何人かできた。

長旅の疲れもさておきギザのピラミッドを見に行くことにした。下調べしておけば1人で行けたものの、それが足りず近くの旅行代理店に入ってドライバー付きのツアーを申し込んだ。1万5千円ほどのツアーだった為、オール・インクルーシブだと思っていたがここから、悲劇となる。

社内に乗車するとドライバーは自己紹介や家族の事や、自分がドライバーでどれほど立派かなど話をし始めた。エジプトでは男性はプライドが高く、自分の職業など誇りをもって話す傾向にあり、そのプライドを傷つけるような発言は決してしてはいけないらしい。深い意味は無く男性の話に相槌を打っているうちに、市内からあっという間にピラミッドのあるギザに到着した。自分でタクシーを手配した方が得だったと、改めて感じた。

ここから私の怒りが爆発することが次々起こる。
ギザについた途端、ドライバーに暗くて小さな部屋に通されて、そこには、他2名の男性がおり、簡単なピラミッドの説明を受けた。更になんとピラミッドが見たければ、ここで更に金を支払うよう(日本円にして7000円程度)要求されたのである。私は散々もめたが、日本から遥々ここまで来てピラミッドを見るのをあきらめるわけにはいかない為、結局しぶしぶ支払う事にした。

ただこれで終わらなかった。次にギザに入るとラクダに乗ることを要求され、これも数千円要求された。だが炎天下の中、広いギザを廻るのは難しく、渋々これも支払う事にした。
だがラクダに乗った途端、ラクダ引きの男性が私の後ろに乗ってきて、体をべったりつけては腰に触ったり、不愉快極まりない事をされ、もうスフィンクスやピラミッドへの夢が一気に冷めた。ガイドブックでもラクダ引きとのトラブルは多く読んでいたし、エジプトは痴漢が街中でも多いのは事実だった。私の様な、ラクダ引きからの痴漢被害も多く読んでいたし、他にはラクダ引きが写真を撮ってやると言って、シャッターを切った後、カメラを返してくれず2万円ほど要求される、ラクダから降ろしてくれず、降りたければ金を払えを法外な値段を吹っかけてきたため、飛び降りた等、トラブルが絶えないらしい。

男は鼻歌を歌いながら、ピラミッドの説明などしているが、ストレスが溜まった私は「あなた、この仕事楽しいわけ?」とかなり冷たい攻撃的な口調で言った。その途端男性はすっかり暗くなってしまい「美しい景色なのはわかるけど、毎日に見るのは嫌だ...」と急にトーンダウンしてしまった。話題が尽きた為、私が「もう数日でイスラエルに向かうんだけど、どんなところ?」と言ったところ「行った事無いから知らない。なんで彼らが僕らを嫌うのか分からない...自分は何も悪い事してないのに」とまた暗い返事が来た。いや…こんなところで痴漢していること自体いかんだろう。
やっとの事ラクダから逃げるように降りたところ、男は私に何度も「俺から何も得てないのか?」とバクシーシ(いわゆる現地で言うチップ。道を聞くなどしても現地の人たちは要求してくる)を要求してきた。痴漢に払う金などあるはずがない!私は要求を「何も得なかったどころか、気分最低だね」ときっぱり断った。

その後もツアーはランチなど何かにつけて、金銭を要求されたりした為、堪忍袋の緒が切れた私は、ドライバーに「旅行代理店に戻って。もううんざり!」と声を荒げた。
ドライバーはオロオロして代理店に戻った。

代理店に戻ると私は店の2階の奥にいるマネージャーであろう男に、今日の不満を大きな声でぶちまけた。…他に旅行を申し込む客たちも騒然としている様子であった。1人品の良い女性が、綺麗なイギリス英語で「レディーがそんな大きな声を出してはいけないわ。あなた何が不満なの」と私をたしなめた。
代理店の人間は「あなたは内容に承諾して支払ったんだから、私達は返す必要なんかないわ」と私の怒りを交わし笑ってきたため、更に私は「日本大使館に言ってやる!!メジャーな日本の旅行ガイドブックにも、ここは悪徳業者だとコメントしてやるーー」等々騒ぎ、他の客達は逃げるようにして店を出て行った。
と、ここで何だかガタイの良いお兄さんたちがたくさん集まってきたので、やばいと感じた私は、「覚えてなさいよ、絶対に戻ってきて借りは返すわーー!!」と、そして非常に汚い言葉で罵り合い(ブログに書けない)逃げるようにして代理店を出た。

通りに出て、何もできない悔しさが込み上げてきた…がここで通りに警察官がいるのを見つけた為、これ幸いと「もし、ここの旅行代理店で詐欺まがいな事がありまして困っているのですが、助けて頂けないでしょうか。一緒に来てください」と言ったら、笑いながら着いて来てくれた。再び2階に警察官を伴って現れた私に、男はパニックと怒りで、アラビア語で何かまくしたて始めた。私は何を言っているか分からないが、自分は何も悪くないと言っている様であった。警察はたしなめるように、「まあ返金してあげれば」と良いっているように見える。
すると男は「返金するから二度とこの店に姿を現さないと署名しろ」と言って白紙を渡してきた。私は白紙に「二度とこんな代理店来ません」とだけ書いて署名をした。いったいこの誓約書に何の効力があるのだろうか。そんなこんなで私はかなり損はしたものの、旅行代金のみは返金してもらうことが出来た。やはり絶対に折れてはいけない。

代理店を出ると、そこで働いていた12歳くらいの男の子が飛び出してきて私に声をかけてきた。「やっぱ何かおかしいのかな」といったようなことを言っていたので「そうね、あんなクズのところで働いてちゃ良くないね」と言って別れを告げた。

エジプトはインドに続き、観光客が不快な思いをする国としてランキングが高いと聞いた事がある。ピラミッドやカイロ博物館など、素晴らしい観光資源がありながら、観光客に嫌な思いをさせるのは何故なのだろうか。日本の様におもてなしの心を持って「良い国だった。また行きたい」と言ってもらえるような国である方が、将来性も高い。
私の様に飛び込みで現地の旅行代理店などで、ツアーを申し込むと、かなりぼったくられる為、エジプトに行かれる方は、不快な思いをしない為にも、事前にきちんとしたツアーに申し込んだ方が良いと国と言える。