中東旅行-経由地の韓国編

椎間板ヘルニアの手術まで数日ある事だし、今回は若いころに行った中東旅行について書こうと思う。20代前半だったころ、貧乏旅行をしていた私は、エジプトーイスラエルーヨルダンを3週間にかけて廻ったがその時の事を話したい。

初めに訪れたのは韓国である。大韓航空にてソウル経由でエジプトに向かう予定であった。飛行機の隣に座ったのは、若い韓国人男性らしい。特に躊躇するでもなく私に話しかけてきた。韓国人の生活の質の低さについて、兵役が悲惨だったこと、仕事で北朝鮮に車で何度か訪れたこと等、話は興味深く私も色々と質問した。「ソウルで1泊するなら飲みにでも行こう」と名刺をくれたが、どうも建築家らしく、将来は東大に入学したいと語っていた。
大韓航空はサービスの質が、恐らく日本の航空会社をまねていると思われるが、非常に質が高く、成田ーソウル便ですら、美味しいビビンバが食べられた。「食事の時間になったら起こしてください」「眠っているので起こさないでください」等と書いたシールが客席にあるのも日本らしい。

北海道にでも着くかの速さで、飛行機はソウルについた。
私がATMでモタモタしていると、男性は後ろで待っていた。そろそろ一人になりたかった私は、どうしようか...と考え始めた。
2人でバスに乗り込んだが、男性は、ここは高級住宅地で...など色々説明してくれる。どうやら私を安宿まで送ってくれるらしい。宿の最寄り駅につくとバスを降り、居場所を宿に電話してくれたため、宿から迎えが来ることになった。「なんでちゃんとしたホテルでなく、安宿なんか泊まるんだ」等、変な目で見られたが、色々な意味で助けてくれたことに私は感謝し、丁重に礼を言い男性と別れた。
宿は安宿とはいえ、日本人も多く朝食もついていて、宿の夫婦は親日的で日本語も話す親切な方々だった。ニュースで日韓関係が冷え込んでいると伝えられているのが、信じられなくなる場所であった。

次の日私は、韓国政府と国連が主催する、韓国と北朝鮮の国境、板門店DMZを巡るツアーに参加した。このツアーは、国籍によっては参加が認められず、特に韓国籍の方は参加が出来ないそうである。ツアー参加にあたって、国連の文書で、「政変に何かあり、お客様に有事の事態があった場合、我々は一切保証しません」という文書にサインをさせられ、少しワクワクしてきた。(最後にこの文書は土産として頂けた)
ガイドが「おはようございます。さあ皆さま、今日は命を懸けた一日が始まります」の言葉に更にワクワクしてしまった。

初めにツアー一行がたどり着いたのが、展望台であった。望遠鏡で北朝鮮の生活も垣間見れた(この日は雨模様だったため、良く見えなかったが、農業で働いている人が若干見えた) 土産物屋も充実しており、朝鮮ニンジンのエキスや、ハブ酒か分からないが蛇の入った酒瓶など、北朝鮮の製品がひしめいていた。
ゆっくり眺めでバスに帰ったところ、ガイドに「どこに行ってましたか、探しましたよ」とかなり怒られてしまった。時間を間違えた事に深く反省した。

いよいよ板門店である。現地に着く前は、ガイドが何度も酒の持ち込みをしないよう注意喚起しており、写真は許可の無い場所で取らないよう再三警告も受けた。また韓国軍や米軍から何度もパスポートのチェックを受けた。
余談だがガイドによると、国境付近で勤務している軍人が、「家柄良し、高学歴、背高し、英語ができる」ことで韓国人女性による結婚したい男性の候補だそうである。なるほど皆、サングラス越しでも18,9歳辺りで若いが貫禄がある。

さて国連のバスに乗り換え、板門店到着である。現地は物々しく韓国軍や北朝鮮の軍が廻りを包囲している。

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合間には執務室の様なところで、軍人さんと写真が取れたり、北度38度線を越えて、北朝鮮側に渡れるサービスもあった。(これで公式に私は北朝鮮に行った事があると言える)

次には資料館のような場所に行き、北朝鮮の生活を垣間見ることが出来た。北朝鮮の学校や家など、やはりどこも将軍様の写真があがめられている。
ここで脱北者の方への質疑応答の時間があった。北朝鮮での貧しい生活や、脱北してからも、訛りから北朝鮮出身といじめられ職にも就きにくい現状などを語ってくれた。
昼ご飯は脱北者の方を交えて焼き肉だったが、意外や意外、焼き肉の本場韓国の焼き肉は、癖があって日本で食べるものと違って、余り美味しくなかった。脱北者の方とももっと話がしたかったが、ツアー参加人数も多く、席が遠かった為、残念ながら話は聞けなかった。

午後は相変わらずバスの中でガイドが「ここは写真撮ってOK」「ここはダメ」等と神経質に言う中で、「帰らざる橋」を見たりした。小雨の中見るそれらの風景は、非常に感慨深いものがあった。

夕方ごろソウルに戻ると、私と同様1人で参加していた男性から「旅のお供ありがとうございました!」と言われ、一期一会を感じながら、感慨深い一日が終わった。

その日の夜は、現地民ばかりの屋台に行き、チゲやらを食べていたが、「サービスです」と店のおじさんからにんにく漬けのキュウリを頂いた。(これは2-3日匂うほどであった)なんだか高かった屋台であったが、味は格別であった。

明日からエジプトである。初めての中東はどんな世界だろうか。