ヨルダン:バスの運転手にぼったくられる

さて、ペトラ遺跡を満喫し、エルサレムに戻ろうとしていた私。国営のバスが4時に着くはずなのでバス停で待っているとバスが来た。
私が乗り込むと、3人組の男が乗り込んできた。するとバスの運転手がニタニタと私を見ながら、この3人の男と話し合っていた。直感的に嫌な予感がした。
運転手は「この便は運休だが、あなたが4人分払うなら(何ゆえに私が全員分支払うのか)出発してもいい」などと言って2万円程度請求してきたのである。私は怒って運休なはずはないと反論したが、2万円払わないなら、出発しないの1点張りだった。
3人組の男たちと山分け分を話し合っていたのだろう。
折角ペトラ遺跡の様な素晴らしい遺跡があっても、公務員までもここまでする国であることは非常に残念である。

私は結局散々悪態をついたが、荷物をエルサレムのホテルに置きっぱなしにしてあるため、今日中には帰らねばならず、泣く泣く2万円払う事を一旦承諾した。
バスの中ではずっと私は運転手と、3人の男に口汚く悪態をつきまくっていた。

バスが目的地の駅に着く前に、運転手は窓からタクシーを捕まえ、私にそこに乗り込んで駅まで向かうよう指示してきた。怪しい。駅まで行かれたら苦情を言われると思ったのだろう。
私はツカツカバスの前まで歩いて行き、バスの前に掲げられた男の免許証をわざと臭くじーっと見た。またアラビア語など分からぬが、メモ帳とペンを取り出しそれを書き写すふりをし始めた。なるほど、等何度もうなずいたり、わざと臭い事をしていたが、運転手は急に焦り始め、駅までちゃんと乗せるし、今回の便はタダにしてあげるなどと言い始めた。しまいには「私はあんたを助けたよな」等と何度も言っている。私は思いっきり睨みつけてその質問に答えなかった。

さてヨルダンとイスラエルの国境である。ヨルダンを去る際に、観光省(?)か何かの職員からヨルダンの観光の意見を今後参考にしたいのでと、いくつか質問を受けた。この時に例の運転手の話をし、「こういった観光客を不快な気持ちにさせる様であれば、色々な意味で観光地化は難しい」と厳しい意見を言った為、非常に神妙な顔をされてしまい、自分が悪いような気分になった。

この時夕暮れ時に、ヨルダンからイスラエルの国境を歩いた事はいまだに思い出深い。
夕焼けが美しかったのもあるが、歩いて国境を超えること自体が、日本人にとっては感慨深いものでは無いだろうか。
しかしこの時の、入国審査は非常に厳しく、武器は持っていないか、大学で何を勉強したか等色々いなことを根掘り葉掘り聞かれ、入国できないのではないかと心配になった。荷物をエルサレムに置いて、軽装できている私は心配がピークに達し「あの...私入国できないんでしょうか」などと弱音を交えて聞いたところ、急に審査官はニッコリし「問題ありませんよ」と言われた。ホッとした。

さてかなり日が暮れてからエルサレムに戻った。メールをチェックすると日本発の便からエジプトまで一緒だった女の子からメールが来ていた。エルサレム国境付近のターバというビーチリゾートでダイビング三昧しているという事なので、私も加わることにした。

色々な思い出を残し明日、イスラエルからエジプトのターバに向かう。