「レイコ@チョート校」を読んで

先日「あの人は今」的なTV番組に、20年程前ケネディ元大統領なども輩出した、アメリカ屈指のエリート寄宿学校、チョート・ローズマリー・ホール校に奨学金を取って入学した少女が紹介されていた。当時日本の中学3年生で、現地の高校2年生から入学するというのが驚愕である。

ご本人は現在オーストラリアで弁護士をされ、アイスクリーム店を営むご主人と結婚され子宝にも恵まれているとの事だ。

TVの中で、レイコさんが在学中、各出版社に向け働きかけ、出版された本があると知り、その行動力にも大変興味を持ち、さっそく入手して読んでみた。

初めは16歳らしいたどたどしい文章で、少し読みにくさを感じたのだが、読むにつれて、チョート校での充実した毎日が見えてきた。
私が感じた事は「日本の公立高校の何十倍も充実した教育を受けたんだなぁ」という事だった。私は私立校出身で無いのでエスカレーターなどの私立では、もっと充実したプログラムがあるのかもしれないが、そもそも日本の受験制度そのものがクリエイティブなものでは無いので、高校もその通過点であるという印象しかなかった。

どんな点で充実しているかというと、色々あるが、授業は日本以上に厳しい。1科目に対し、1時間程度の宿題が出るのが当然で、更に2時間はかかるものもあり、徹夜も多いという。
その分、裁判を忠実に生徒同士で再現する授業があったり、ベルサイユ条約のプロジェクトで、条約の調印するところまで、生徒同士各国で別け、民族衣装に身を包んだりして国際会議を体現するなどと言ったところにある。

また遊ぶところは徹底的に遊ぶ。パーティなども盛んにあり、特に誕生日などは盛んに祝ってもらえるとの事だった。(毎朝eメールで学校通信が来て、それに誕生日の子の情報が載っているとの事)
また著者もチケット制で中華のディナーパーティーを開催したところ、最終的に150人も集まってしまい、注文したケータリングが足りず誤って歩いたり、チャンレンジ精神や起業家精神も推奨してくれているようだ。

イケハヤさんの言葉だが、「日本の学校は単なるサラリーマン養成所」らしいが、チョート校での画期的かつ、丁寧な教師陣の指導を見ていると、日本の教師たちは、ただ黒板に文字を書いて、定期テストを行って…という事だけで、革新的な事、先進的な事、周りからはみ出すくらいの子供を好かない傾向にあると感じる。

また日本の大学受験制度も変わりゆくが、グローバルに追いつくために、自分を強く持っている優秀な学生、ボランティア経験や、海外での活動、プチ起業などの経験を持つ生徒をAO等でどんどん入れていってほしいと思う。

この本を読んで何より驚いたのが、レイコさんの(当たり前だが)優秀さそのものであった。彼女自身幼い頃に、ご家族の都合でアメリカや中国に住んでいた為、英語はもちろん若干のアドバンテージはあったはずではある。
だが私が通っていた、帰国子女受け入れ行だった中学では、小学校時代を海外で過ごした人の英検は2級くらいが多かった。また英語は触れていないと、忘れてしまう言語らしく、帰国してから1-2年で忘れてしまう事が多い。
そんな中レイコさんは帰国後も、更に英語を勉強し、小学6年生で英検1級、中学1年生時にTOEFL670、2年生時にTOEIC975を取得している。
やはり努力の天才なのであろう。

日本にはきっとレイコさんの様な優秀な若者が山ほどいる。そんな若者にどんどん海外に出て行ってほしい、そう思える1冊であった。